【全文文字起こし公開中】YMCAレクチャー・宮台真司社会学講義「宗教と自意識の檻ー私たちの生きづらさはどこから来て、どこへ行くのか?」2022年1月22日開催分


宮台真司 社会学講義
「宗教と自意識の檻〜私たちの生きづらさはどこから来て、どこへ行くのか?」

YMCA×宮台真司 社会という荒野を仲間と生きる

全文文字起こしはこちらからご覧ください。
当日の講義に大幅な加筆を加えた増強版です。

文字起こし前編

文字起こし後編

協力:渡邉佳奈子 

以下開催概要 ※実施済み

 日 時:2022年1月22日(土)16時〜 ※最大21時まで

会 場:在日本韓国YMCA 東京都千代田区神田 水道橋駅から近く

参加方法と申し込み

対 面:定員70名(YMCA、YWCA、学生優先)
申込先→

オンライン:定員100名(zoomを予定)申込先→https://miyadai20220122lecture.peatix.com

※アーカイブ配信あり

参加費:社会人4,000円、学生2,000円、配信2500円 ※参加費の自己負担が難しい場合はご相談ください。

主 催:神戸YMCA 阪田晃一(キャンプディレクター)

講 師:宮台真司(社会学者・映画批評家)

共 催:在日本韓国YMCA

協 賛:Gift寄付者の皆様、株式会社上組

 

宮台真司 社会学講義

 社会学者であり映画批評家の宮台真司による社会学講義です。
 対面形式をメインとしたイベントです。講義に加え質疑応答、参加者によるディスカッションも行います。

今回のテーマは「宗教と自意識の檻」
なぜいま、宗教か?

 宗教概念論によれば、宗教とはこの人生を生きる上での「理不尽や不条理」を無害化するための装置とされます。たとえ無宗教だとしても、この宗教的な営みによって、私たちは日々の暮らしの中で起こる様々な出来事や、どうすることもできないこと(枠組み)について、「自分たち(人間)とは違う圧倒的な何かによってこの世界が成り立っているのだ」と思うことで、折り合いをつけて生きています。

 一方で、私たちを時にがんじがらめにする「自意識」は、「自己のホメオスタシス(恒常性維持機能)」を強烈に働かせます。ホメオスタシス(恒常性維持機能)とは、バランスを保とうする能力です。体温調節や免疫システムなど、生体は様々なホメオスタシスによって、状態を維持しています。宮台氏によればこの「状態を維持」するシステムが心にも働いており、それは時に「檻」となって、私たちを自意識に閉じ込めてしまうのです。

 かつて私たちは「理不尽や不条理」を共同体として受け止め、仲間と困難を乗り越えてきました。しかし社会が複雑になるにつれ(安全・便利・快適な生活を手に入れるようになるにつれ)、私たちは個人で「理不尽や不条理」を受け止めるようになりました。昔ほど、社会に温かさや包容力がなくなってしまった現代、私たちは自己が「剥き出しの状態」でこの人生を生きていかざるを得ません。だからこそ、私たちの「自意識の檻」は強固に形作られてきたのかもしれません。

 この偶発性に溢れた「ユニバース」に生きる私たちが、本当に豊かで、幸せな生を生きるとはいったいどんなことなのか?「メタバース」というある意味で、理不尽や不条理を「無害化する装置」が生み出された今、生きづらさの意味に向き合い、理解することによって、自分のペースで進み出すことができるかもしれません。

 社会学はもとより、人類学や哲学などあらゆる学問に精通し、さらに学問の枠組みでは伝えることのできない「この世界の秘密」に映画批評を通して迫る宮台真司氏による講義にご参加ください。

なぜいま、宮台真司なのか?

宮台さんをよく知らない方も、ぜひご参加ください。

「ただ生きていく上ではいらないけれど、どう生きようかと問う人にとって必要なもの」

私はそれが学問であり、哲学であると思っています。
私の普段の仕事は「キャンプディレクター」です。わかりやすく言うと夏休みにキャンプ場で過ごす、サマーキャンプの最高責任者です。

ただキャンプをして楽しいだけであれば、何も難しいことを考える必要はないかもしれません。でも、キャンプを通して人をどう導いていけば良いのか?その問いが始まった時から、この世界に存在する「わからないこと」をどうやって言葉で理解すれば良いのかを探す旅が始まりました。

その途上で、配信イベントで宮台さんに出会いました。これまでよくわからなかったことを、「こんなに上手な日本語で、的を得た説明をする方がいるのだ」と感動し、なぜだか「この方なら会ってくれる」と確信したのです。

今回のテーマである「宗教と自意識の檻」は、少し難し印象かもしれません。しかし宗教心という、「なにかすごいものに対する畏敬の念」のような感情は誰しもが持っているでしょう。そして「自意識」とは、「自分で自分のことをどう思っているか」です。私たちは自己に関わることができる存在であるが故に、悩み苦しみます。

この存在に対する「開かれた態度」と「閉ざされた態度」の対立が、現在の生きづらさを理解するヒントになります。

いま漠然と感じている不安や不全感の意味に、宮台さんの言葉によって迫り、学ぶことができる貴重な機会です。

宮台さんは「言葉によって言葉の外に誘ってくれる」存在です。

皆様のご参加をお待ちしております。

キャンプディレクター
阪田晃一